匂いを感じない世界
私は、ここ数十年フレグランスエバリエーションのお仕事をしていて、香りを感じなかった日はなかった。
毎日、毎時、どんな些細な香りでも感知しようと、香りを楽しみ、感じてお散歩し、食事を作って美味しいと嗅覚と味覚を感じ、風を感じ、家庭菜園でお野菜を作って、好きな人の香りでゆったりとできる、嗅覚から受ける豊かな日々に感謝して過ごしていました。
自己免疫もあり、風邪も長らくひく事もなく、それほど無理をしてなかったので健康的で何の問題もなく、お薬も使わないので、勝手な健康への自信はありましたが、久しぶりの都会で、嗅覚を失う日々を送る事に遭遇してしまいました。
流行りの風邪をひいてしまったので仕方ないようですが、こんな無機質な体験をするのは生きている心地がしませんでした。何も匂わない、感じないので、食事は全く美味しくもなく、何故だか苦みと甘みが口の中で気持ち悪い。瘦せますよ。風は感じても香りを感じないのでお散歩も全く楽しめない。自然に行きたいとも思えず、掃除など同じ作業繰り返すだけで、ロボットのように感じてしまいました。無機質で平らな奥行きのない白黒の世界。嗅覚が劣ると、やる気もなくなり、こんなに生きる気力を失うとは思いませんでした。
風邪で匂わない時は、”数日から1週間は香りを嗅がない方が早く治る”と、フランスで香料を学んだ際の先生が仰っていたので、嗅覚を早く取り戻したのであれば暫く香りを嗅がない方がよいです。
私も含めて将来お年で嗅覚が劣ってきたら、人生の質を落とさず地球の香りを楽しんで豊かに過ごしていけるように嗅覚トレーニングも考えていきたいなと思います。
毎日、お花や野菜の香りを嗅ぎ、表現する事は、最も嗅覚も感性も人も豊かになります。
嗅覚という素晴らしい感覚は皆が平等に与えられている。
自然豊かな美しい地球に生まれ、最大限に今を嗅いで人生を楽しも。
一時ですが香りを感じなくなり、嗅覚が回復してきた時は感動的でした。
健康であり、各感覚を感じられる事は人生が豊かになり、素晴らしくもあり、神秘的でもある。人間が持つ感覚に感謝して過ごしたい。
話は変わりますが、この例の流行り風邪は異様だった。
今まで経験した事がない感覚。喉は痛くないが違和感があり息苦しく、目の奥から鼻の奥に住み着く何か、腹痛、嗅覚と味覚の消失、そしてなかなか治らない。よくある風邪のような症状だが一般的な風邪とは経過が異なり、何かが違う違和感を感じた。
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